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ギムノ   フォト プロムナード

  ギムノカリキウム属  ーーー  原種ギムノの写真とメモ

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サボテン科 ギムノカリキウム属に関して、主として、フィールドNo.のついた、
産地情報のある、由来の明確な、各種の種子を入手し、その実生育成に注力
しています。これらの原種ギムノを中心にして、ギムノ全般の栽培品の近況を
紹介して行きたいと思います。なお、ホームページにギムノ全種の写真一覧
がありますので、適宜ご利用ください。

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本日はピンク花の G. friedrichii (牡丹玉)です。

国内に
古くからある 牡丹玉、その斑入種である緋牡丹錦、緋牡丹は、
多くがピンク花です。

ヨーロッパで古くから栽培されてきた
 G. friedrichii (牡丹玉)の変種とされる、
G. friedrichii v. piraretaense
G. friedrichii v. angustostriatum
G. friedrichii v. melocactiforme
なども、大部分がピンク花です。


200508--DSC_5558--friedrichii--ex mrk 
 Gymnocalycium friedrichii
( ギムノカリキウム属 牡丹玉                   (旧来品))





200716a--DSC_6862--friedrichii v angustostriatum--piraretaense--Rowland seed 2041 
 Gymnocalycium friedrichii v. pirareraense
(Rowland seed)
( ギムノカリキウム属 牡丹玉 (変種) ピラレタエンセ        ( ローランド種子実生 )  )



070809-Sany5467-piraretaense_202008072213593f4.jpg 
 Gymnocalycium friedrichii v. pirareraense
( ギムノカリキウム属 牡丹玉 (変種) ピラレタエンセ        ( 旧来品 )  )



一方、近年産地から入る、フィールド No. のついた、
G. friedrichii (牡丹玉) は全て白花です。

190623--DSC_2359--friedrichii--VoS 018--Piltz seed 5938 
Gymnocalycium friedrichii   VoS 018
(Piltz seed 5938)
( ギムノカリキウム属 牡丹玉         ViS 018  )



既に ヨーロッパで、1970 年代に、
最近産地から入るものは白花の v. moserianum ばかりで、
ピンク花の G. friedrich が入らないと云われています。

さらに古い話になりますが、1940年ごろに、
G. friedrichi の発見者の A .M. Friedrich (フリードリヒ)が、
ヨーロッパからのパラグアイのカクタス調査隊に随行した時に、
以前あったピンク花を咲かせる G. friedrichi が見つからない
云っていたという記録があります。

Moser(モーゼル)著の( A .M. Friedrich と美しいパラグアイ)
を見ますと、A .M. Friedrich が滞在していた頃のパラグアイの写真が
多数出ています。その中に、現地の人が荷車にカクタスを積んで
運ぶ写真があります。当時は現地の人達にカクタスを取って来たら買うと云って
集めていたようです。これから想像すると、A .M. Friedrich 自身が自生地を
知らなかったのではないかとも考えられます。
A .M. Friedrich がG. friedrichi  の産地の申告を数回変更したという記録もあります。

A .M. Friedrichは(ボリビア~パラグアイ)のチャコ戦争(1933~」1935)
で戦争写真取材記者として勤務し、その傍ら植物調査、カクタス採取を
行なったとされます。
パラグアイの首都 Asuncion の自宅に置いていたカクタスと多量の種子を
1935年にベルギーのカクタス商 Harry Blossfeld に売却しています。
この Blossfeld の記録に、この中から日本と米国に販売した とあり、
日本のピンク花の G. friedrichi  はこの時の種子によると考えらてれます。 

(シャボテン 30号)に、渡辺栄治氏の緋牡丹錦の作出の話が出ていますが、
昭和17年に(牡丹瑞雲)1万粒播種したとあり、さらにこの1万粒を用意するのに
3年間の日時を要した、とあります。当時(牡丹瑞雲)と呼ばれた G. friedrich の
開花株が、1939 年には相当数あったことになります。

当時、瑞雲丸(G. mihanovichii )が既に普及しており、
新たに入ったG. friedrich は、緑花の
瑞雲丸に似た形態でピンク花というところから、
牡丹瑞雲としたのではないかと思います。
現在の和名は牡丹玉になっています。


なお、牡丹玉の学名ですが、1936年の Werdermann の記載です。
Gymnocalycium mihanovichii var. friedrichii   Werdermann (1936)

この時点では、G. mihanovichii の変種とされています。
その後、1964年なって、チェコの Pazoutにより、独立した種として
記載されています。
Gymnocalycium friedrichii  (Werdermann) Pazout (1964)

現在では、ピンク花、白花の G. friedrichii は、
茶緑花の G. mihanovichii とは別種としていますが、
一部に 
G. mihanovichii の変種としているところがあります。















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2020.08.08 10:00 | Terminalia(瑞雲丸・麗蛇丸他) | トラックバック(-) | コメント(0) |
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